台湾のデジタルサイネージ

 OpenSource とも Xibo とも関係ないのですが、昨年末に台湾旅行に行った際に見たデジタルサイネージが興味深かったので情報がフレッシュなうちに紹介します。
 
 台湾は今や世界の電子部品をつくっていると言っても過言ではありません。工場は中国にあることも多いですが、ASUS、GIGABYTE、ホンハイ、TSMC、Acerなどなど有名から無名まで。デジタルサイネージに関しても、最新の機材をふんだんに使ってのものが目立ちました。日本でも同じようなことをやっていますが規模が違います。
 ハードウェアだけでなくソフトウェアに関してもオードリー・タンが象徴していますが、OpenSourceのプロダクトとコミュニティを活用して一気につくりあげます。コロナのときのマスクマップは世界を驚かせました。
 
 前置きはこれぐらいにしておいて、まずはxpark水族館にあったものをいくつか。水族館は室内で環境を暗くすることができるので日本でもよくプロジェクターを使ったデジタルサイネージが使われています。
 Xpark水族館は台北郊外の高鉄桃園駅の最寄りにあります。日本の八景島シーパラダイスが台湾で2020年につくった水族館ということで日本と同じでは!?と思うかもしれませんが、そこは最新の水族館ということでいろいろ工夫されていました。

 こちらは床面にプロジェクターを投影したもの。床うちはときどきみかけますが、この規模は見たことがありません。天井にあいている黒円の中にプロジェクターが真下にむけて吊るされています。ここでは16台使われていました。ぐるりは本物の水槽です。
 もっと狭い空間で360度投影+床うちというエリアもありました。ここは魚は泳いでいなく映像だけでしたが、センサーが使われていて人間の動きにあわせてコンテンツが変化していました。また床面にもプロジェクターが強化ガラスの下に埋め込んでありました。

 こちらも床うちなのですが、クラゲ水槽と鏡を組み合わせてどこまでも空間があるように見えます。数えませんでしたが、ここもかなりの数のプロジェクターが使われています。超単焦点と単焦点、複数種のプロジェクターで鏡の反射を利用して投影。照明の演出も連動していて、幻想的な雰囲気をつくっています。

 team laboが塗り絵をscanしてそれが大スクリーンで泳ぐというデジタルサイネージをよくやっていますが、それのタブレット版。二重らせんの柱のところにタブレットの枝がたくさん生えていて、そこで好きな図柄にタブレット上で塗り絵して送信すると、大スクリーンにそれがでてきます。team laboのは2次元的でしたが、xparkは3Dの魚とかクラゲです。また、スクリーンがタッチに反応します。
 塗り絵はゴミが出るし、クレヨンやペンのメンテに手間もコストもかかるので、タブレットでやるのは良いです。

 もう一箇所のデジタルサイネージも紹介します。
 国立故宮博物院は台北にあり有名ですが、ここは中国の美術品が主に展示されているので、それ以外も含めたアジアの美術品を展示する別院をつくろうということで民進党主導で2015年に嘉義の郊外に国立故宮博物院南院がOPEN。ちょっと遠いのですが、今回は台湾高速鉄道を使って南院を訪ねました。

 この写真のオブジェは日本代表!?の草間彌生による「魅惑のかぼちゃ」という作品。これは公園にあるパブリックアートで、後ろの建物が故宮南院。

 xparkにもあったタイプですが、周囲と床面のプロジェクター投影 + センサーによりインタラクティブコンテンツ。xparkもそうだったのですが、360度映像ですが、円でも四角でもなく、レモン型をしています。レモンの頂点が出入口になっていて、人が滞留しないようになっています。この空間の使い方はなかなか良いのではないでしょうか。

 深度カメラをつかったコンテンツ。これはときどきみるものですが、セットアップが三角の空間になっている。同時に複数人が体験できるように工夫されている。

 他にもたくさんあったが、日本の博物館に比較してデジタルコンテンツが多いと言えます。
 全体的に見てタッチに反応するものが多く、床うちが多い。日本でもよく床うちやりたいという話はあるのですが、なかなか実現しません。機材的にはLEDプロジェクターが登場して以来360度セッティングができるようになったので可能ではあるのですが、天井高が必要なのと普通の天吊りに比較して施工費がかかる。メンテナンスがしづらいという問題があります。
 国民的な違いかもしれませんが、日本の場合はやっぱりやめとうこうと無難な方に行くのがこちらでは面白そうだからやっちゃおう!となるのではなかろうかと思った。特にクラゲ空間の雑多なプロジェクターや床埋め込みプロジェクターにはちょっと驚いた。

 ちょうど総統選挙をやっている時期でしたが、街頭の看板に関してはアナログなものがまだまだ多い。日本では見ないような巨大看板が選挙で使われていました(日本の場合は公職選挙法によりこのような巨大看板は設置不可)。

 最後に動画もあった方がわかりやすいと思うので紹介したものをダイジェストにしましたのでごらんください!